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スポーツ選手の横顔

スポーツで活躍している選手の横顔に迫ります

全英オープンゴルフ 2016 カーヌスティの悲劇

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いよいよ、開催まで3週間を切りました全英オープンゴルフ。
いま、イギリスは大変なことになっていますよね。EUからの離脱で株価は世界的に大幅下落、為替も円高でこの先でどうなるのでしょうか?

イギリス自体もキャメロン首相の辞任表明で、混乱は免れません。

全世界の経済のとって悲劇の中での全英オープンゴルフですが、全英オープンの悲劇と言えば、忘れられない「カーヌスティの悲劇」ではないでしょうか。

1999年に開催された全英オープンの舞台は、カーヌスティ。三日目を終了して、トップになったのはフランスのジャン・バンデベルデ。二位に3打差をつけて17番ホールを終了。誰もが、このフランス人の優勝を期待していたし、間違いないと確信していた。

ジャン・バンデベルデは、下馬評にもなくヨーロッパツアーで一勝しただけの無名の選手。しかもマンデートーナメントを勝ち抜いて本戦出場を果たした選手であった。フランス人ゴルファーは珍しく、全英オープンでは1907年にアーノード・マッシーが優勝して以来の快挙となるため、フランス人にとっては最高の瞬間でもあった。
というのも、予選と三日目のプレーが、長いパットを決めたり、抜群のバンカーショットだったり、トラブルになっても奇跡的なリカバリーでパーを取るなど、まさに神がかりだったのである。

そして、最終日に二位に5打差をつけてスタートしたバンデベルデ。ここから悲劇が始った。最終日のスコアは以下の通り。

 1番 パー
 2番 ボギー
 3番 ボギー
 4番 パー
 5番 パー
 6番 パー
 7番 パー
 8番 ボギー
 9番 バーディー
10番 バーディー
11番 パー
12番 ボギー
13番 パー
14番 バーディー
15番 パー
16番 パー
17番 パー

ココまで見ると、なんの変哲もないスコア、まして最終日最終組の全英オープンならごくごく自然のスコアだった。
三日目に最高のスコアを出し二位に食い込んできたクレイグ・バリーも8番で首位に並ぶ勢い、11番では単独トップになるほどだったが、12番でなんとトリプルボギー。続く13番でもボギーを打つと、たった2ホールで首位戦線から脱落した。
二位争いをしていたジャスティン・レナ-ドは、この時静かに静かに機会をうかがっていた。すっとパーでしのいできたレナードは14番でバーディーを決めて、ついにトップに並んだ。この時、バンデベルデは13番終了時。続く14番バンデベルデがバーディー、レナードが15番でボギー。
二位以下が首位に立ったかと思うと崩れて後退する、まさにバンデベルデの優勝への脇役を演じているようだった。
青木功プロが解説していた当時の中継を見ていても、バンデベルデの神がかり的な優勝への道をとくとくと解説していた。

そして迎えた18番パー4。二位に3打差をつけているのでこのホールはダブルボギーでも優勝のはずだった。
18番は、ボギーであがるのは簡単なホール、バリーバーンという小川がグリーンの前を流れるため、無理に2オンを狙うとここにはまる危険があるホール。だが、手前に刻むなら確実に3オンできるし、パーだって十分狙えるホール攻略法だった。
バンデベルデの第一打は、大きく右に曲げる。が短いラフに止まるラッキー。ここでも神がかりだと思えるほど。誰もが二打目は刻むだろうと思っていたが、バンデベルデは第二打で無謀にも直接グリーンを狙う。再び大きく右へ曲げると、ギャラリースタンドの壁に当たって跳ね返り、ボールは深いラフに。思い返せばここが運命の分かれ目だったのだろう。刻んでグリーン前のバリーバーンの手前に落とすことなら、難なくできたはずだった。そこをさせなかったのも、メジャーと言う大会に存在する神と悪魔の仕業なのか。
そして第三打、深いラフから打った球は無常にもバリーバーンに捕まることになる。万事急須!誰もがドロップするかと思った瞬間、バンデベルデは川に入ってウオーターショットを試みようとしたではないか。
しかし、その瞬間ボールが水の流れでさらに沈んだため、諦めてドロップし、第五打目を打つも、今度はバリーバーンを越えたがグリーン周りのバンカーへ。
くしくも同じ組で回っていたクレイグ・バリーが同じバンカーから先に打ったバンカーショットがチップインする。ここで解説の青木功プロが、「このバンカーショットが欲しい」とバンデベルデを応援するほど、もう誰もがバンデベルデを応援していただろう。第六打のバンカーショットは、ピン約1.5mに。つい先ほどまで優勝確実だったのが、外せば二位、入れてプレイオフという精神限界のところまで追い込まれるも、第7打をねじ込んで、トリプルボギーでプレイオフに。

18番 トリプルボギー

レイオフは、ジャン・バンデベルデ、ジャスティン・レナード、ポール・ローリーの3人で、15番から18番までのストロークプレイでの争いとなった。結果は、バンデベルデ+3、ローリーEVEN、レナード+3で、ポール・ローリーの逆転優勝となったのだ。

というのが、カーヌスティの悲劇として語られている、ジャン・バンデベルデの物語。

実はこの大会では、ポール・ローリーもまたマンデートーナメントを勝ち抜いてきた無名の選手だった。三日目を終えて首位と10打差という、まさに優勝など狙える位置でもなんでもない選手だった。しかし最終日に爆発して+6で上がり後続を待つことに。上位選手が少しずつスコアを落とすと、棚ボタのプレイオフで優勝!
だけど、早い組で回っていたため、しかも無名選手であったため、放送でもその姿がほとんど映し出されずに、プレイオフで初めてしっかりと見たくらい。これもまた神のいたずらなのだろうか、メジャーと言う「何か」なのだろうか。

(画像転載:AFP/GERRY PENNY)